「風の電話」

こんばんは!高尾です(^^♪

久しぶりに「ぎっくり腰」になってしまいました。
それでも、仕事は休めず(。>﹏<。)
仕事帰り、特に駅から家までが果てしもなく遠く感じられました(^o^;

いつだったか、若松英輔先生の「見えない涙」から
詩を1節載せたことがありました。

友人に、その詩に挿絵を描いてもらいました。
私は絵を描くことが苦手なのですが、自分がイメージしていた通りの絵で、ちょっと鳥肌が立ってしまいました。

 

「風の電話」

海の見える高台に
白い電話ボックスがあって       
そこに                
配線の切れた             
黒電話がひとつ            
岩手県上閉伊郡大槌町にある      
風の電話

電話器をとり                
耳にあてても             
何も聞こえない            
でも                 
訪れる人は皆             
亡き者たちにむかって         
話しかけようとする

人が
何かを語るのは
伝えたいことがあるからではなく
伝えきれないことがあるからだ
言葉とは
言葉たり得ないものの
顕れなのである

だからこそ
語り得ないことで
満たされたときに
人は
言葉との関係を
もっとも
深める

嘆き
呻き
涙して
言葉を失ったところで
ようやく
死者たちの
語らざる声に気が付く

 どんなに
 悲しんでもいいけど
 あまり
 嘆かないで
 わたしの声が
 聞こえなくなるから

 悲しんでもいいけど
 顔をあげて
 あなたにはわたしが
 見えないけど
 わたしには
 あなたの姿が見えるから

 悲しんでもいいけど
 ぜったいに
 ひとりだとは
 思わないで
 いつもわたしは
 あなたのそばにいるから

生者たちよ
語ろうとする前に
亡き者たちの声を聴け
祈りのとき
彼方から訪れる
無音の響きを聴くように       若松英輔「見えない涙」より

絵が1枚存在するだけで、イメージの世界が広がります。
スピリチュアルな世界が垣間見えます。

この「風の電話」の発案者であり、設置管理者である佐々木格さん。
「亡くなった大切な人に思いが伝えられるように」と自宅の庭に震災前から設置していた「風の電話」を、震災後整備し直し、もう一度「風の電話」として設置されたそうです。

「震災で突然の別れを強いられた被災者の心の助けになってほしい」

そう語る佐々木さんの思いは瞬く間に広がり、多くの被災者が「風の電話」を訪れるようになります。

懐かしい黒電話は、どこにも繋がっていません。ただ、何も聞こえないこの黒電話とノートとペンが置いてあるだけです。

でも、佐々木さんは言います。
「聞こえないと思ったら、本当に何も聞こえないんです。でも、じっと耳をすませると何かが聞こえてきますよ」

“会いたくて、会いたくて、声が聞きたくて来てみました。
もう痛くないよね、苦しくないよね。”

“まごちゃんが3人になったよ。
かあさんにおふろに入れてもらいたかったよ。
いろいろ聞きたいことあるんだ…。”

ノートに残されたメッセージ。
何も聴こえないかもしれないけど、でも、聴こえないからこそ
伝わるもの、伝えられるもの、、、があるのかもしれません。

「見えない」ことは、「存在しない」こととは違うのではないでしょうか。
耳を澄ませば、こころを研ぎ澄ませば、きっと大切な方の声が聴こえてくると信じています。

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