伝えられなかった想い

こんばんは。高尾です。

30年という月日が経ちました。
あの時お腹の中にいた次男が、30歳になるほどに・・・
どうか安らかに、と祈ることしかできません。

どれだけ多くの人々の人生に、突然のお別れが訪れたことでしょうか。
当たり前のように明日は来ると思っていたから、だから、もう何も伝えられなくなる日が来るなんて、夢にも思っていなかった1995年1月17日早朝。

長い転勤生活を終えて、ようやく両親が宝塚の自宅に戻ったのは震災の2ヶ月ほど前。そして、やっとリフォームが終わったのが震災の前日でした。
まさかほんの半日を過ごしただけで、ライフラインが整うまでの何ヶ月間か、そこに帰ることのできない日々が続くとは夢にも思っていなかったことでしょう。

「形あるものはすべて壊れる」

本当にその言葉の通り、すべてが我楽多=瓦礫の山と化したのでした。

どんなことが起ころうとも、手元に残るものとはなんなのだろうか?
遠く離れた故郷でのこの大きな災害は、折に触れて自分の向き合うべきものがなんであるのかに思いを馳せる、大きなトリガーとなったのでした。

突然のお別れに、遺された者たちに去来する思いとは・・・
いつの日か伝えようと思っていたのに、でもそれはまだまだ先のこととしか思っていなくて。言っておけばよかった、伝えておけばこんなに苦しく切ない思いをすることはなかったかもしれないのに。。。


千葉県船橋市にある『手紙寺』のことは、以前にも触れたことがありました。

想いを文字として綴ることは、その人との日々に思いを巡らせ、共に生きた証を胸に刻むことなのかもしれません。

このポストに投函された手紙は、大切な方へと届けられます。

 

『手紙処』では、一人静かに文字を綴る場所が用意され、たくさんのノートに、たくさんの想いが綴られていました。

AlonAloneの扉の閉まる一室には、北鎌倉に美術館を構える葉祥明さんのカードやシンプルなレターセットをご用意しています。

 

グリーフカウンセリングの後に文字を綴られる方や、ふらっと立ち寄っただけだけど願いを届けたくなった方、などが、静かな時間を過ごされ、綴られた手紙は赤いポストへと投函されます。

先日手紙寺を訪ね、ポストに投函されていた数々の手紙を納めてまいりました。
毎月最終日曜日の午後、お焚き上げは行われます。

大切な方へ伝えたい想いは、お焚き上げによって届けていただきましょう。
手放してしまいたい思いは、炎として燃やしてもらいましょう。

たまたまこの手紙寺には、上智大学グリーフケア研究所の後輩が勤めておられました。案内を買って出てくださり、どのような活動をされているかのお話を伺ってまいりました。
私の活動にも理解を示してくださり、今後も毎月鎌倉で綴られたお手紙のお焚き上げを快く引き受けてくださいました。

このようなご縁もあり、雪ノ下でグリーフ&セルフケアのコミュニティ活動をしていることを知っていただくことができました。
少しずつ少しずつではありますが、小さなコミュニティが横に縦に斜めにと、広く知っていただくことの機会が増えてまいりました。

従来通りの活動に加え、Teahouseという未知の世界に飛び込んでもうすぐ半年を迎えます。

たくさんの方々のご理解ご協力に感謝し、上に下にと枝を伸ばし根を張り巡らせて、細く長くこの活動が続くことを祈りながら、大変遅くなりましたが、新年のご挨拶とさせていただきます。

本年も、一人でも多くの方がグリーフの苦悩から立ち上がり、グリーフと共に生きていくことの意義を見い出していくお手伝いをさせていただきたいと思っております。

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