絵本の花束

⑩谷川俊太郎・詩/川端章三・写真『子どもたちの遺言』/佼成出版社
(絵本ではなく、写真&詩です…)

大人の言葉がもっぱら頭脳から発せられるのに対して、子どものことばは体全体から、そして心の表面からではなくその底の方から発せられる
ー作者あとがきよりー

日常どこにでもありそうな子どもたちの一瞬を捉えた写真と、それに添えられた詩。
それらを通して、それぞれの年代の子どもたちの心の声が聞こえてくるようです。

絵本とは一味違った一冊、いかがですか?
(2009年1月30日発行)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

⑨トーン・テレヘン作/長山さき訳『ハリネズミの願い』/新潮社
(絵本ではなく、物語です…)

ある日、自分のハリが大嫌いで、ほかの動物たちとうまくつきあえない、孤独で自分に自信のない「ハリネズミ」が、誰かを家に招待しようと思いたち、手紙を書きました。

親愛なるどうぶつたちへ

ぼくの家にあそびに来るよう、キミたちみんなを招待します。
・・・でも、だれも来なくてもだいじょうぶです。

でも、この招待状を送る勇気がありません。

もしも〇〇が訪ねてきたら・・・と想像するだけで、不安に襲われてしまうのです。
もしも、誰も訪ねてきてくれなかったら・・・と想像するだけで、悲しくなってきてしまうのです。

 せっかく来てくれたのに、お菓子が足りない(^.^;

机も椅子もへし折られちゃう(≧▽≦) 

 難しいこと聞かれてもな・・・

いつ辿り着くことやら(~_~;)

 歌を聴くと、涙が出ちゃうんだ(¯―¯٥)

オソロシイ訪問が頭の中で繰り広げられ、考えれば考えるほど、招待状が出せなくなってきてしまいました………

 

でも・・・

初めて、時間が止まればいいのに!って思ったんだ。やっと、やっと・・・
「とっても楽しかったね、ハリネズミ。また、会おうね!

 

 

そして、安心して冬眠に入りました💤 

断られるのが恐くて、誰かを誘えないことってありますよね。
せっかく来てもらっても、ちゃんとおもてなしができるかどうか不安なことだってありますよね。
いろんなことが頭の中で繰り広げられても、でも、やっぱりともだちが欲しいなって思っている「臆病で気むずかしいあなたのための物語」です。
(2016年6月30日発行)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

⑧バージニア・リー・バートン作・絵/いしいももこ訳
 『ちいさいおうち』/岩波書店
       

 

むかし、いなかの静かなところに、
ちいさなおうちがありました。

 

 

 

春になると野原はみどりにかわり、りんごの花がいっせいに咲き始めました。
夏にはいっぱい実がなりました。

 

 

秋になると木の葉は黄色や赤にそまり、りんご摘みが始まりました。

 

ところがある日、ちいさいおうちの前を自動車やトラックが行ったり来たりするようになり、あっという間に、家やアパート、電車に囲まれてしまいました。
ちいさいおうちは、まちはいやだと思いました。

ちいさいおうちは、これからどうなってしまうのでしょうか…

私たちの身の回りには、便利で華やかで魅力的なものが溢れています。
でも、自分にとって本当に大切なものって何なのでしょうか…?
(1965年12月16日発行)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

⑦シルヴァスタイン作/倉橋由美子訳/『ぼくをさがしに』/講談社

 

 

 

何かが足りない
それでぼくは楽しくない
足りないかけらを探しに行く
これが「ぼく」のかけら探しの旅の始まり

野を越え、山越え、海越えて、いろいろなものに出会いながら
かけらを探す

 大きすぎたり

小さすぎたり……  

「ぼく」は自分のかけらを見つけることができるのでしょうか…?

何かが足りない、何かを変えたい、と思った時
「ぼく」と一緒に旅をしてみませんか?
(1997年4月24日発行)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

⑥菊田まりこ作・絵/『いつでも会える』/学研

 主人公のシロですU^ェ^U

シロはみきちゃんのことが大好き♡ 
何をするのもみきちゃんと一緒でした。

 

でも、ある日突然、みきちゃんが・・・

 

探しても探しても見つからないみきちゃん。 
シロはどうしていいのか、わからなくなってしまいました。

 

深い悲しみの中、シロはみきちゃんとの楽しかった日々のことを考え始めました。
すると・・・

大切な人やものとの別れ。私達はそれをどう受けとめ、折り合いをつけていけばよいのでしょうか。。。
そのヒントをなげかけてくれる1冊です。
(1998年11月発行)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

⑤スーザン・バーレイ/作・絵『わすれられないおくりもの』
                        /評論社

森のなかまの誰からも慕われていたアナグマは、ずいぶん歳をとってしまい、自分が死ぬのが、そう遠くはないことを知っていました。
でも、死んでからだがなくなっても、こころが残ることをアナグマは知っていたので、死ぬことは怖くありませんでした。ただ気がかりなのは、残していく友だちが悲しむことでした。

 とうとうある日、アナグマは、
長いトンネルの むこうに行くよ さようなら アナグマ
と手紙を残して、死んでしまいました。

モグラはベッドの中で、毎晩アナグマのことばかりを考て、毛布が涙でグッショリになってしまいました。

 

 でも大丈夫!!
あるあたたかい春の日に、モグラは、アナグマが残してくれた、たくさんのおくりもののお礼を言いに、丘に登りました。
ありがとう、アナグマさん。

かけがいのない友だちを失った森のみんなは、どう悲しみを受け容れていったのでしょうか・・・

たくさんの大切なものを、この物語は私たちに語りかけてくれています。どう受けとめるか?は自分のこころ次第です。
(1986年10月10日発行)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

④湯本香樹実/文 酒井駒子/絵『くまとやまねこ』/河出書房新社

 ある朝、くまの大の仲良しのことりが・・

 くまは、きれいな箱に、いい匂いのする
お花と一緒にことりを入れてあげました。

 どこに行くのも、その箱と一緒。
森のお友達に見せてあげると、みんな困った顔をして言います。
「つらいだろうけど、わすれなくちゃ」

 くまは悲しくなって、部屋にとじこもってしまいました。

 でもある日、気がついたのです!
外はとってもお天気がいいことに!!
くまがことりの箱を持って歩きだすと・・・
見慣れないやまねこと出会いました。

 くまは箱のふたを開けて、やまねこにことりを見せてあげました。
すると、やまねこはことりをじっとみつめてから、とっても素敵な言葉をかけてくれたのです。

 そして、くまとことりのために、ヴァイオリンを弾いてくれました。


くまはそっと目を閉じました。浮かんでくるのはこんな風景✨
やっぱり、音楽の力ってすごいです(*˘︶˘*).。.:*♡


そして、その箱を手放す決心をしたのです。だって・・・


やまねこと一緒に、こんな素敵なお墓をつくりました。


楽器の弾けないくまに、やまねこはタンバリンを手渡しました。

 そして、一緒に旅に出たのでした。

これは、大学院の授業で先生が紹介してくださった絵本です。
大切な人のことを、忘れたりしなくたっていいんだよ。
目には見えなくたって、いつも一緒なんだよ。
それを教えてくれたのは・・・

やまねこの奏でる優しいヴァイオリンの調べが、まるで聴こえてくるかのような物語です。白黒だった世界に、可愛いピンクの花が咲きました。
(2008年4月30日発行)

次回からは、第1、第3週末、の月2回のご紹介とさせていただきます(^_^)/

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

③マイケル・ローゼン作『悲しい本』谷川俊太郎訳/あかね書房

扉を開くと、目に飛び込んできたのは・・・

「誰にも、
なにもはなしたくないときもある。
誰にも。
どんなひとにも。
誰一人。

・・・・・・私の悲しみだから。
ほかの誰のものでもないのだから。」

という一節。
誰のものでもない、私だけの悲しみが描かれた本です。


「悲しみがとても大きいときがある。どこもかしこも悲しい。からだじゅうが、悲しい。…息子のエディーのことを考えるときがいちばん悲しい。エディーは死んだ。
私は彼を愛していた。とてもとても深く。でも、彼は死んでしまった。」

この本には、愛する息子を亡くしてしまった一人の男の独白が綴られています。その男は、様々なやり方で自分にまとわりつく悲しみを紛らわそうとしますが、どんなに逃れようとしても、気がつくとまた、悲しみの渦に引き込まれているのでした。

絶望の底に沈んだ男を、悲しみから解放するのは、幸せの中にあった頃の記憶。
そして誕生日を祝うロウソクの火……。

悲しみの記憶から逃げずにとことん向き合うことで、いのちへの愛おしさという大切なことに気づくことができるのかもしれません。

本当に、深い悲しみが、厳しいほどにストレートに伝わってくる絵本です。
でも、何度も何度も読み返すうちに、ろうそくの灯が男のこころをぽっと温かく照らし始めるのを感じることができます。
また、谷川俊太郎の訳が、淡々と、そしてやがて、じんわりとこころに染み渡ってくるのが心地よく感じられました。
(2004年12月)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

②シェル・シルヴァスタイン作『おおきな木』村上春樹訳/あすなろ書房

      
一本のりんごの木と少年が出会いました。
毎日一緒に遊び、それで木はしあわせでした。


少年は成長し、木はひとりぼっちの日が多くなりました。

    
時々訪れる、成長した少年の望みを、木は叶えてあげました。
それで木はしあわせでした。

  
ある日、年老いた少年が訪ねてきました。
もう何も欲しいものはない、、、と、古株に腰掛ける少年。

 それで木はしあわせでした。

幼い男の子が成長し、老人になるまで、温かく見守り続ける1本の木。
木は、りんご、枝、そして幹・・・と、少年の希望を叶えるために、自分の全てを彼に与えてしまいます。
それでも木は幸せでした。
1964年にアメリカで出版され、それ以来30以上の言語に翻訳され、世界各地で人々の手に取られてきたロングセラーです。
前翻訳者の本田綿一郎さんが亡くなったため、2010年に村上春樹氏訳で改めて発行されました。(2010年9月2日発行)

あとがきに、翻訳した村上春樹氏の想いがあふれています。
「あなたはこの木に似ているかもしれません。
あなたはこの少年に似ているかもしれません。
それともひょっとして、両方に似ているかもしれません。
あなたは木であり、また少年であるかもしれません。
あなたがこの物語の中に何を感じるかは、もちろんあなたの自由です。
それをあえて言葉にする必要もありません。
そのために物語というものがあるのです。
物語は人の心を映す自然の鏡のようなものなのです。」
(村上春樹/訳者あとがきより)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

本日から、ここ「絵本の花束」で、週に1冊ずつ絵本をご紹介していきたいと思います(^_^)/

司書をしていた友人から、「デュラックって知ってる?」と、たくさんの素敵な挿絵が送られてきました。
 シェークスピアの『テンペスト』
エドマンド・デュラックの挿絵が、初めて日本に紹介されたのが、この絵本でした。

彼は1882年10月22日、フランスのトゥールーズに生まれ、19~20世紀初頭のイギリスの挿し絵黄金期を支えました。
画面構成には、浮世絵からの影響も見られ、繊細な淡いタッチが全体を幻想的、神秘的に演出し、描かれた表情からは、なんとも儚げな印象を受けます。

 『人魚姫』

  『アラビアンナイト』

 『シンデレラ』

他にも、美女と野獣や雪の女王、眠れる森の美女、アンデルセン童話集、ギリシァ神話物語なども手がけています。

これがデュラックの挿絵だとは知らなくとも、みなさんもどこかで目にされたことがあるのではないでしょうか。だからでしょうか・・・なぜか、どことなく懐かしい感じがします(^^)

ここまでにご紹介した絵本は、みなさんもよくご存知だと思いますので、初回の今日は、先日の発表会で好評だったものをご紹介したいと思います。

①ガブリエル・バンサン作『アンジュール ある犬の物語』/BL出版

            
ある日、犬は疾走する車の窓から投げ捨てられた。
追いかけても、追いかけても、その車は停まることはなかった。

            

            
突然野良犬になってしまった犬は、彷徨い、うなだれ、空に吠える。

    
やがて歩き疲れ、佇む犬の目線の遠く先に、同じくひとりぼっちで佇む少年の姿が映る。
走りより、少年の胸に顔を埋める犬。その目には、きっと優しい少年の瞳が映っていることだろう。

文字のない、ただ、線と点が鉛筆で書かれただけの絵本。物語は、読み手がそれぞれの思いで紡いでいく。しかし、最後の1枚で、きっと誰の胸も温もりに包まれるに違いない。(1986年5月1日発行)