死から生を考える〜ホリスティックな死生観〜

こんばんは!高尾です(^^♪

寒くなる寒くなる、、、と脅かされながら、それでもあまり厳しい寒さも感じられず、今日も小春日和の1日でした(^^)
明日は本当に寒くなるみたいですので、どうぞ温かくしてお出かけください。

昨日、日本ホリスティック医学協会主催の医学シンポジウムに参加いたしました。

『こころと身体はつながっている』
これがホリスティック医学の基本的な考え方です。誰しもが生まれながらに持っている、こころと身体の治癒力が好循環することによって、人は心身ともに健康な生活を送ることができる、というものです。

今回登壇されたのは、西洋医学に中国医学、気功、代替療法などを取り入れ、人間をまるごととらえるホリスティック医療を実践されている帯津良一先生、消化器腫瘍外科がご専門で、しかしながら、「がんには自分のメスでは勝てない」と西洋医学を中心に東洋医学や補完代替医療も取り入れ、全人的な治療、診察を行っておられる船戸崇史先生、そしてスピリチュアルといえば!の江原啓之さん

帯津先生は「ナイス・エイジングのすすめ」というテーマでお話されました。
まずは、楽しく抵抗しながら老化を認めることから始めましょう。「人生の幸せは後半にあり!」特に60歳からだと先生はおっしゃいます。死の不安は無くすことはできないけれども、和らげることはできます。死の不安を和らげ癒やすことのできる人は、一歩でも二歩でも死に近づける人、近しい人だということですが、そのために先生は「今日が最後だと思ってしっかり生きる」ということを実践されているそうです。だから、毎晩の食事や晩酌は「最後の晩餐」となるわけです。そのように毎日を今日が最後だと思ってしっかり生きるように努力してみると、そこにはやがて覚悟が生まれ、その不安が喜びに変わる、、、ということらしいです。
患者さんの旅立ちを戦友のような思いで見送ると、そこには故郷に帰るような安堵の表情が見受けられるそうです。ここで言うところの故郷とは「死後の世界」であり、現実の自分がたとえこの世界から消えたとしても、他の世界にはちゃんと存在し、そこでハツラツと生きていくことの象徴だと先生は話されました。

このように生と死を統合し、「死をいのちのひとつのプロセス」と捉えることが、死の不安を和らげるためにとても大切なことだとおっしゃいました。

船戸先生はご自身もガンに罹患され、自分だけはガンにならないと思っていただけに、とてもショックだったと話されました。
しかし、この一見不幸とも思える出来事も、「生き方を変えなさい」「本当の自分に更生しなさい」=リボーンということを教えてくれた貴重な声だったのではないかと。。。このような、ガンを通して生き方を変えたい人のために、新しいアプローチで再発転移の予防にも取り組まれているそうです。

死を突きつけられて初めて、その死が教えてくれていることに気づきます。
先生は、死が教えてくれた生き切るための3つの条件と6枚の処方箋というテーマでお話しくださいました。(NBM=物語と対話の医療)
条件1.痛みがないこと
処方箋①:肉体的痛みがないこと
処方箋②:精神的痛みがないこと
処方箋③:社会的痛みがないこと
処方箋④:霊的痛みがないこと
条件2.最後まで今を自分らしくあること
処方箋⑤:今一度立ち止まって人生を俯瞰すること
条件3.最後まで幸せでいること
処方箋⑥:今を最高の笑顔でいること

処方箋①から④は皆さまもよく耳にされるものだと思います。我々グリーフカウンセラーは、④の霊的痛みを和らげることのお手伝いをさせていただいています。やはりここでも、「スピリチュアル」の日本語訳は「霊的」としか表現できないとのことでした。

処方箋⑤の人生を俯瞰するとは、自分はそのために生まれてきたと感じることのできるような生き方ができているのか、これでいいのか・・・と振り返ってみるチャンスをいただけたのだと感じてみることだそうです。振り返ることのチャンスをもらえたことは、ガン患者にはなってしまったけれども、リボーンの大切さを知ることのできた大切な出来事でもあるというのです。

処方箋⑥の最高の笑顔でいるためには、3つのしあわせを感じられることが欠かせません。
1.診療で診るしあわせ=四合わせ 脳レベル:思考
2.本当のしあわせ=幸せ 腸レベル:感情 愛おしい、ありがたい、楽しい
3.究極的なしあわせ=死合わせ 魂レベル:なんて愛おしい、なんてありがたい、なんて楽しい

旅立つ人に魂レベルでの死合わせを感じてもらうために、「ありがとう」「後は任せて」といったような、引き止めない、死をちゃんと認める言葉がけをしてさしあげましょう。決して「死なないで」とは言わないでさしあげてください。

船戸先生がご自身の経験も含め、多くのお見送りの中で最後の最期を幸せに逝くために必要なものは何か?を、このような形で教えてくださいました。
(2022/11/13開催 シンポジウム「死から生を考える」より抜粋)

人は「死」を身近に感じ、強く意識したとき、あらためて「いのちの尊さ」に気づきます。たとえば、身近な人が亡くなったとき、自分や家族が病気になったとき、災害や戦争などによる被害を目にしたときなど・・・、きっかけは様々です。(シンポジウムのチラシより)
これって、先日の講演会で玉置様が話されていた「スピリチュアルの蓋がカパっと開くとき」と同じですね。
これらはとても辛い出来事ではありますが、しかし同時に、自分の「これからの生きかた」を深く考え、リボーンするためのトリガーともなり得るのです。
ご自身のレジリエンスを信じて、死から目を背けずに真摯に向き合うお手伝いをさせていただけることに深く感謝いたします。

多くの方々が「スピリチュアル」という言葉に抵抗を感じられるのには、様々な理由があると思います。しかし、グリーフケアを語るにはどうしても、このスピリチュアル、或いはスピリチュアリティを避けては通れないのです。
まずお伝えしたいのは、スピリチュアルとはすべての人が生まれながらに携えている「私が生きる意味とは」「なんのために生きるのか」「死んだらどうなるのか」などを問う魂の声なのです。(江原さんの語られるスピリチュアルとは一線を画するものだと私は感じております。。。)
でも、この世に生きとし生けるもの全てに唯一平等に与えられているこの「死」ではありますが、そのことばかりを考えていると「どうせいつかは死ぬんだから」「どうせ死んだらおしまいなんだから」などとなってしまい辛すぎるので、自然と考えないで生きることを選択してしまうようになっているのです。ただ、なにかのきっかけで死を突きつけられると考えざるを得なくなり、スピリチュアルの蓋が開いてしまうのです。そして、今まで向き合ったことのない声と向き合うことになるからこそ、辛く苦しいのです。

今回のシンポジウムでは、このカパッと開いてしまった蓋を無理やり閉じるのではなく、そこから生をしっかり考えるということの大切さを、あらためて教えていただきました。
少し長くなってしまいましたが、どうしてもお伝えしたく、「死から生を考える」ことの大切さのお裾分けでした\(^o^)/

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