こんばんは!高尾です(^^♪
思ったよりもカラッとした五月晴れではなく、なんとなくどんよりとした1日でした。
本日は、長崎2日目の滞在記を綴ろうと思います。
2018年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、世界文化遺産に登録されました。
「信じることをあきらめなかった。人々の想いは今でも、長崎の各地で受け継がれている」
ここは、キリスト教が禁じられ、司教不在の中で250年もの長きに渡り長崎と天草地方において、日本の伝統的宗教や一般社会と共生しながら信仰を続けた潜伏キリシタンの、信仰継続にかかわる伝統のあかしとなる遺産群です。
今回訪れたのは、遠藤周作の「沈黙」の舞台となった、そとめ(外海)です。
*黒崎教会
1897年にド・ロ神父の指導により敷地が造成され、1899年から建設計画が進行、1920年に完成しました。遠藤周作の小説『沈黙』の舞台ともなった黒崎の地に建つ教会です。
お聖堂は、信徒が奉仕と犠牲の結晶として一つひとつ積み上げたレンガで造られています。煉瓦造、平屋、桟瓦葺(さんかわらぶき)の簡素な構成が煉瓦の美しさを際立たせており、深い奥行を持つ内部はリブ・ヴォールト天井と呼ばれ、今でも美しい輝きを放つステンドグラスが印象的でした。
今回「潜伏キリシタン」と「隠れキリシタン」の違いも学ぶことができました。
1612年の江戸幕府による「キリスト教禁教令」以来、250年に渡り、キリスト信徒は、時に地元の神社の氏子となりながらも、密かにキリストを信じ続けたのでした。
1859年、開国が始まると幕府は禁教令を緩和し始め、開港場居留地において、外国人の信仰の自由を認め、宣教師の来日を許可するようになりました。
解禁後にキリスト教に帰依した信徒を「潜伏キリシタン」と呼び、一方、そのまま日本の伝統的宗教の氏子のまま、キリスト教を信仰し続けている信徒を「隠れキリシタン」と呼ぶそうです。今も黒崎地区には2軒の隠れキリシタンが存在し、そのおひと方にお話を伺うことができました。
*祈りの岩
枯松神社に登る参道の脇に、大人が数人隠れるほどの大きな岩がありました。ここは、潜伏時代、キリシタンが年に一度、復活祭前の「悲しみの節」の夜にオラショ(祈り)を唱えた場所で、「祈りの岩」と呼ばれています。潜伏期、普段は周りに気づかれることを恐れ、声に出してオラショを唱えることはありませんでしたが、この日だけは見張り役を立て岩陰に隠れるようにしてオラショを唱えたそうです。
*枯松神社
黒崎の潜伏キリシタンは、伝説の伝道士バスチャンの師であるサン・ジワンの隠れ家(バスチャン屋敷)に集り、オラショ(祈り)を捧げ、信仰を守ってきました。明治以降、そのジワンを祀る神社が建立されました。
バスチャン屋敷跡
*大野教会堂
禁教期に潜伏キリシタンが氏子となった神社に密かに自分たちの信仰対象を祀り、オラショ(祈り)を唱えるなど在来宗教と信仰の場を共有していた集落です。禁教期の信仰の場であった神社近くに、解禁後、石造りの教会堂が建てられ、禁教期固有の信仰形態とその終焉を示しています。
2008年に国の重要文化財に指定されています。
あまりにもお優しい表情
傷みが激しいので中に入ることはできませんでしたが、質素ながらも、深い信仰心と感謝の気持ちが伝わってくる教会堂でした。
それぞれの建造物はとても質素で、しかも傷みが激しいので、それ自体は世界遺産に匹敵するものではないそうです。しかし、そこに横たわる歴史の意味、、、250年もの間、司教不在のままでありながらもキリスト教が途絶えぬよう、代々護り通した人々の苦難の歴史に、世界遺産としての意味があるのだそうです。
1597年2月5日、豊臣秀吉の命令によって、長崎市西坂で殉教した26人のカトリック信者たち。最年少の12歳であったルドビコ茨木は、処刑の際、「改宗して命永らえるより、キリシタンとして死して、永遠の命をいただくことを望む」とキッパリと言ったそうです。これほどまでの深い信仰を持つことができたのはなぜなのだろうか・・・今の世に、自分の命を差し出してまで信仰を護ることのできる人がどれほど存在するのだろうか・・・という思いが湧いてきました。
この地で命をかけて護り通し、今の世に信仰を繋げてくださった、潜伏・隠れキリシタンの方々の霊に手を合わすことしかできませんでしたが、これからの自分の生き様の中で、ほんの少しでも世の中に還元していくことができれば、、、と思わざるを得ませんでした。
冒頭にも書きましたが、今回、遠藤周作「沈黙」の映画の舞台となった「そとめ(外海)」を巡っています。
映画の終盤、ポルトガル人宣教師ロドリゴに対し、日本人キジローが「僕はなにもできなかった。」と許しを乞うた時、ロドリゴは「そんなことはない。君はずっと僕の側にいてくれた。」と答えました。Do-ingではなくBe-ing。心に響いた言葉でした。
遠藤周作さんに関しては、明日につづく・・・といたします(^_^)/